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障害者の就労支援に役立つ|限局性学習症(学習障害)当事者のリアルな工夫

  • エンパワークファクトリー
  • 12月16日
  • 読了時間: 5分
自分に合うやり方を、少しずつ見つけていく時間
自分に合うやり方を、少しずつ見つけていく時間

はじめに

「努力しているのに、なぜか人と同じようにできない」

 「理由が分からないまま、ずっと自分を責めてきた」

そんな思いを抱えたことのある方に向けて、今回は限局性学習症(学習障害)の当事者であるAさんにお話を伺いました。 

このインタビューは、Aさんご本人から「誰かの一助になれば」という申し出があり実現したものです。

気づきのきっかけ、過去を振り返って思うこと、得意・苦手、仕事での工夫、そして今悩んでいる方へのメッセージまで、率直な言葉をもとに構成しています。

Aさんプロフィール


·         限局性学習症(学習障害)の当事者

·         特に社会人になってから、『なんで出来ないのだろう』という違和感を抱えてきた

·         視覚情報から理解することや、長期的な記憶を活かすことが比較的得意

·         「苦手がある前提で、どう工夫するか」を大切にしている

·         今回のインタビューでは、同じように悩む人の参考になればという思いで参加


① 限局性学習症ではないかと感じ始めたきっかけ

Aさんが最初に感じたのは、「ちゃんとやっているのに、なぜかうまくいかない」という感覚でした。

 勉強や作業に取り組んでいても、周囲と同じように進められない。その理由が分からず、気持ちだけが焦っていったといいます。

後に限局性学習症(学習障害)という言葉を知ったことで、「もしかしたら自分もそうなのかもしれない」と、自分自身を振り返るきっかけになりました。


② 遡って思い返せば…

気づきを得てから過去を振り返ると、「あの時もそうだった」と思い当たる場面が数多くあったそうです。

たとえば、運動会のダンスのように、周囲の動きを見ながらタイミングを合わせる場面。 人の動きを追うことが難しく、動きが遅れたり、位置が分からなくなったりすることがありました。

英語のセリフを覚える、場面の流れについていくといったことも、「とにかく必死だった」という感覚が残っていると話してくれました。


③ 私の場合の特性(特性は十人十色)

Aさんが強調していたのは、「限局性学習症といっても、特性は本当に人それぞれ違う」ということです。

Aさん自身は、耳で聞いて覚えるよりも、目で見て理解する方が合っていると感じる場面が多かったそうです。 

大切なのは、「何ができないか」よりも、「自分にはどんなやり方が合っているか」を知ること。

特性を知ることは、自分を否定するためではなく、工夫を選ぶための材料になると語ってくれました。


④ 苦手な面と得意な面

苦手な面として挙げられたのは、処理スピードや、周囲のペースに合わせること。 

「みんなが当たり前にできていることに、どうしても差が出てしまう瞬間がある」と話します。

一方で、得意な面もあります。 視覚的な情報をもとに状況を判断したり、長期的に記憶していたりする力は、Aさんにとっての強みです。

趣味の写真では、光の状態を見てシャッター速度などを感覚的に調整するなど、「見て判断する力」が自然と活かされているそうです。


⑤ 結果を受けた時の思い

限局性学習症という結果を受けたとき、Aさんの中で大きかったのは「やっと止まり木に止まれた」という感覚でした。

「やっぱりそうだった」

 「分かったからこそ、無理をしすぎずに踏みとどまれた」

もし何も分からないままだったら、限界まで自分を追い込んでしまっていたかもしれない——そんな思いも語られました。


⑥ 仕事への工夫

仕事の場面では、「丁寧に進めること」を意識しているそうです。

·  指差呼称をする

·  手順を見える形にする

·  分からないまま進めず、確認する

一見すると小さな工夫ですが、Aさんにとっては「安心して働き続けるための大切な工夫」。

 基本的なことでも遅れが出る可能性があるからこそ、最初から対策を取ることが重要だと話してくれました。


⑦ 障害との向き合い方(自分との向き合い方)

Aさんは、障害を「気合で乗り越えるもの」だとは考えていません。 

苦手なことがあるのは事実。その前提に立って、「じゃあどうするか」を考える。

読解力や言葉の理解力などを含めて、自分の特性として受け止め工夫につなげてきました。 

また周囲に伝えること、理解を少しずつ得ることも大切にしてきたそうです。


⑧ 一歩を踏み出したいけど踏み出せない方へ

最後に、Aさんから同じように悩む方へのメッセージです。

「できないところばかり見なくていい。 できるところを見て、繰り返しで少しずつ積み上がっていけばいいと思います。」

一気に変わらなくてもいい。 小さな工夫と、小さな前進が、少しずつ自分に合う形を作っていく——そんな現実的で温かい言葉が印象的でした。

おわりに(事業所から)

限局性学習症(学習障害)は、外から見えにくく、誤解されやすい障害です。 だからこそ、今回のような当事者の声は、同じ悩みを抱える方にとって大きなヒントになります。

神奈川県川崎市川崎区川中島にある就労継続支援B型事業所「エンパワークファクトリー」では、 3Dプリンタを使ったものづくり、PC作業、マーケティング業務など、多様な作業を通して「自分に合う働き方」を一緒に探しています。 作業療法士による個別支援も行い、安心して通える環境づくりを大切にしています。



補足

限局性学習症(学習障害)は、知的な発達に遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」など、特定の分野で困りごとが生じる特性です。外からは分かりにくく、本人も理由が分からないまま悩むことがあります。

※より詳しい情報は、厚生労働省が運営する発達障害ナビポータルも参考にしてみてください。https://hattatsu.go.jp/



 
 
 

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